下取り時の恐怖

車屋での業務には販売の他にも重要な商談がある。 それが下取り。

そんな時、私の中で一番査定しやすいのがボロボロでしかも内外装が汚い車。 

「愛着がそろそろなくなってきたのだろう・・・」

そのような場合、比較的言いやすい。 当社の車を買ってくれての下取りですから、買い叩こうとしているわけではありません。 が、

「俺の愛着の湧いたこの車がこんな価格になっちゃうんだ・・・」

と落胆されるケースが少ないです。 当然、次の販売へ向けての準備に時間がかかるわけですからピカピカな車より査定が下がってしまうわけですが、それでも査定の値段は伝えやすい。 それはどの車屋も同じだと思います。

 

 

そこで辛いのがコチラ。

こちらのタント。 もう8年ほどが経過しているにもかかわらず、めちゃ綺麗。

毎回このような下取りだと

「うわ~、俺やることないわ! 昼寝しよ!」

となるわけですが、喜んでばかりいられません。

まず第一に下取りの価格で悩む。 さらに

「いいよ、いいよ、いくらでも。 さらにここにキズが2か所あるからね。純正のホイールもちょっとキズがあるし、いくらでもいいよ」

 

ここでその言葉を信じ、瞬時に

「ああ、わかりました。 10万円で下取りさせていただきます」

と言えたら、もうとっくにフィオラーノ御殿が建っているのですが、そんなことは言えません。 しかもそんなことを言われてしまうと、こちらが言った価格=商談成立となってしまいますから、下手に駆け引きすらできない。

  

たま~に中古車屋での交渉で

「20万円まけてもらったよ!」

等のことがヤフー知恵袋で出ておりますが、どこかで辻褄が合わされているわけです。 こちらとて、ほぼ毎週商談はやっておりますからね。駆け引きにおいてはまあ経験値があるわけですよ。

そんなところで、過度な値引き交渉で成立した場合は、どこかで帳尻が合わされるわけです。 その後の整備にも影響は出てきますので、トータル的にはマイナスになることのほうが多いんじゃないかな。うちでは。 

ズバッと決めてくれた漢気あふれるお客様と、過度な値引き交渉が始まるお客様のどちらを大事にしたいか。ってことですね。

 

 

 

そして、無事に商談が成立。 その後の私の作業にも精神的負担が増えるわけです。 

「あそこをキズだと・・・この車を仕上げるのがツライ・・・」

 

いつも能天気に生きておりますが、そんな時のプレッシャーが半端ではない。いまの環境でやれることをやるだけなのですが、落胆されたくはないじゃないですか。 お客様の乗っている車がピカピカ。 販売者と仕上げ担当が分かれている場合、そんなプレッシャーは皆無なんでしょう。羨ましい。 

 

 

さらにコチラ。

山﨑さんの奥様用として活躍されていたパッソ。こちらは買取りでしたが、この車がくる前、お父さんと一緒に

「もうあれは値段が付かないだろう・・・塗装もちょっとヤレているしね・・・」

と聞いた覚えがあったので

「赤っていっていたし、退色してそれなりなんだろう」

と思っていた時期が懐かしい。

き、綺麗やん。 ドアに少し退色が見られるだけで綺麗やん。

内装も綺麗。 なのに、いくらでもいいって、皆さん

「フィオラーノ御殿つくっちゃいなよー!」

と間接的に言ってくれているのでしょうか・・・と思えるわけもなく適正価格で買い取りさせていただきました。

 

 

新規のお客様が来店されたとき、その車でどの程度の車(あくまで内外装に限る)を必要としているのか・・・それを想像するのも楽しいッスけどね。 あまり綺麗すぎるとその後のプレッシャーが強まり、白髪が増えるわけですよ。 その時は特別項目に「メンズ・ビゲン」600円が入っているかもしれません。 特別項目欄のよくわからない費用にはお気を付けください。 

 

 

今、ご紹介させていただきましたタントとパッソ。

どちらもすぐに売約済みとなりました。 ありがとうございます!

 

タントは美容師さんの元へ。 パッソは同業者の方が

「車が故障してすぐに欲しいって言われたんですけど、内装の綺麗さには厳しいお客さんなんですよ、でもこれなら全く問題ないです!」

とご購入してくださいました。 ありがとうございます。結構下取りの国産車が売れます。在庫のラインナップが総取っ替えにならないよう、在庫車の販売も頑張らないと。